著作権テキスト 〜初めて学ぶ人のために〜 文化庁 (2009)
著作権という権利は知っていても,その内容については知らないことが多い. このWeblogの記録(記事)やプログラムのソースコードなど日頃から文書を書く機会はあるが,著作権に関して分からないことが多く,あまり意識して来なかった. 特に次の点が良く分からなかった.
著作権について書く前に知的財産権についてを少し. 著作権は知的財産権のひとつだからだ. 文化庁作成の著作権テキストには次のように書いてある.
- どのような物に著作権が付くか
- 引用と著作権侵害の違い
- 著作権とその他ライセンスとの関係
著作権について書く前に知的財産権についてを少し. 著作権は知的財産権のひとつだからだ. 文化庁作成の著作権テキストには次のように書いてある.
「知的財産権」とは, 知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して付与される, 「他人に無断で利用されない」といった権利であり, これには以下のようなものが含まれます.文中"以下のようなもの"には著作権,産業財産権,その他が含まれる. 産業財産権とは特許権や商標権のことであり,その他は営業秘密等を指す. 残るひとつが著作権である. 上の引用文からも分かる通り,知的財産権は著作物に対してではなく著作者に対して付与される権利であることに注意.
著作権が保護するモノ
知的財産権が"知的な創作活動"を保護する権利であることから,著作権もそういった"知的な創作活動"を保護する権利である. ここで言う"知的な創作活動"こそ知的財産権が保護しているモノ,つまり著作権で言うところの著作物なのだが,具体性に欠けていて少々分かり難い表現である. 著作権テキストには次のような文がある.
著作物 = 「思想又は感情を創作的に表現したものであつて, 文芸, 学術, 美術又は音楽の範囲に属するもの」 (第2条第1項第1号)この定義を満たしたモノを著作物とし,著作権により保護される対象としている. 人の思想や感情を伴わないただのデータは著作物では無く,かつ他人の模倣品のような創作が加わっていないものは著作物では無く,さらにアイディアのように表現されていないものは著作物から除かれ,工業製品や誰が表現しても同じようなものになるものも著作物から除かれるわけである. 著作権法には著作物の例示として次のものが挙げられている(第10条).
- 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
- 音楽の著作物
- 舞踊又は無言劇の著作物
- 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
- 建築の著作物
- 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
- 映画の著作物
- 写真の著作物
- プログラムの著作物
引用と著作権侵害の違い
引用とは他人の文書を自分の文書の中に引いて説明に用いることである. しかし,著作物を複製すると著作権侵害となる(第21条). どのように著作物を利用すれば引用になるのか疑問であったが,幸い著作権法には著作物を自由に利用出来る場合が定められている. その中でも引用に関する部分を載せる.
引用 (著作権法第32条) 自分の著作物に引用の目的上正当な範囲内で他人の著作物を引用して利用することができる。上の文はCRICからの引用である. "目的上正当な範囲内で"という部分がミソである. また著作権法には次のような但し書きもある.
ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。引用するには次の条件を満たす必要がある.
- 既に公表されている著作物であること
- 「公正な慣行」に合致すること
- 報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
- 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
- カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
- 引用を行う「必然性」があること
- 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
- 家庭内など限られた範囲内で, 仕事以外の目的に使用すること
- 使用する本人がコピーすること
- 誰でも使える状態で設置してあるダビング機など(当分の間は, コンビニのコピー機など「文献複写」のみに用いるものは除く)を用いないこと
- コピープロテクションを解除して(又は解除されていることを知りつつ)コピーするものでないこと
その他のライセンス
プログラムを扱っていると自由に利用可能なソースコードに出会うことがある. 著作物であるはずのソースコードが,なぜ自由に利用出来るのかと疑問に感じる. しかし,著作権法は著作者の意図を優先的に考えているため,著作者が"この著作物は自由に利用して欲しい"と考え,それに適したライセンスを付することで自由利用可能にすることは著作権法により認められている. つまり,著作物を作成した時点で著作権は付与されるが,著作者の意思でより緩いライセンスへと変更することが可能だということ. 著作者は自分の著作物に対する利用法を決めることが出来るのだ.
著作権は無限に存在しうる著作物を保護する権利を有限な言葉で記したものであるため,表現が曖昧であったり例外があったりと,なかなか掴み難い権利であった. ただその目的は明確で,知的な創作活動により生まれた"作品"を著作者とともに保護することである. 極端な話,著作権を侵害したからといって必ず何か罰せられるという訳では無いが,社会的には嫌われることになろう. 今後著作物を作成および公開する機会があれば著作権を意識し,他者が利用しやすい様に著作権に関する記述と共に公開したいと思う. 本Weblogの著作権/ライセンスに関してはAboutページに記してある. 著作権についてより詳しく知りたい場合や,より法的に知りたい場合は下記リンクを参照されたい.
公益社団法人著作権情報センター CRIC
965470406236663865
https://www.storange.jp/2015/03/copyright.html
https://www.storange.jp/2015/03/copyright.html
著作権 Copyright
2015-03-22T15:39:00+09:00
https://www.storange.jp/2015/03/copyright.html
Hideyuki Tabata
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