Macの音声入力とAutomator

MacにはAutomatorというアプリケーションがある. 滅多に使うことのないアプリだが,その機能はパワフルだ. 名前の通りMacで行う作業を自動化してくれる. このアプリを使い,音声入力コマンドを自作,Siriのような"喋って操作"をMac上で実現してみる. SFチックで便利なプログラムの作成を,ではさっそく...

音声入力コマンドを有効化する

Macには"Dictation(音声入力)"と呼ばれるプログラムが備わっている. それを利用すれば,Dictate(喋る)だけで文字を入力できたり,Macを操作できるようになる. まずはその機能をオンにしよう. システム環境設定音声入力と読み上げを開き,音声入力にする. 加えて拡張音声入力を使用にチェックをすることでネット環境なしでも利用できるようにすると便利だ(必要データのダウンロードが完了するまで待つ). これで,ショートカットに設定されたキーを押すことで音声入力機能を利用できるようになった. キーボードにタイプする代わりに,喋って文字入力ができるようになったので試してみよう.
音声入力の設定項目はこんなかんじになれば良い
続いて音声入力コマンドを余すこと無く利用できるよう設定する. 音声入力コマンドとは喋ってMacを操作するための"命令文"といったところ. システム環境設定表示メニューからアクセシビリティを開き,音声入力を選択する. 音声入力コマンドというボタンをクリックすると次のようなリストが現れる. これらが今のところ利用できる音声入力コマンドだ. これをこれから自作する. 高度なコマンドを有効にするにチェックを付ければ準備完了.
一番下のチェックボックスをチェックして完了をクリック
このリストの+マークをクリックすれば音声入力コマンドを自作することが出来るのだが,簡単な操作しか設定出来ない. Automatorを使うことで,より実用的な音声入力コマンドを自作することができるのだ.

音声入力を活用する

では,さっそく音声入力を利用してみよう. 音声入力のショートカットを入力(デフォルトではFnキーを2回押し)すると右のようなマイクが現れる. マイクがある状態で"メモを開く"(Open Notes)と唱えるとノートアプリが開く. 試してみよう. ノートが開いたらそこへ文字を入力してみる. マイクがある状態で入力したい言葉を喋るだけ. スムーズに文字が入力されるので感動ものだ. Siriのように呼びかけるだけで音声入力コマンドを利用したい場合はシステム環境設定表示メニューからアクセシビリティを開き,音声入力を選択,次のキーワードで音声入力を有効にするにチェックを付け,呼び出す時の合言葉(デフォルトではコンピュータ)を設定する.
私はHey SiriをもじってHey Macとした
これで<合言葉><音声入力コマンド>と続けて喋るだけでMacを操作できる. 私の場合は例えば"Hey Mac, Open Safari"(Safariを開いて)と唱えるだけで,ボタンに触れることなくSafariが立ち上がる! もちろん合言葉には日本語を使うこともできるので好みで変更しよう. 声で操作するコンピュータはSFの世界だけでは無くなったワケだ.
参考までに,どのような音声入力コマンドが使えるのか知りたい時や,その他のオプションを選択したい時はメニューバーからアクセスできることをお忘れなく.

コマンドを自作する

さて,いよいよAutomatorの登場だ. 初めての音声入力コマンド作成なので,Hello Worldのようにシンプルな方が良い. そこで"Hello"と呼びかけるとそれに答えてくれるようなプログラムを組もう. コマンド名は"Hello"である. 注釈:コマンド名や喋らせたい言葉は日本語でも全く問題は無いので好みで置き換えよう.
Automatorを立ち上げ,音声入力コマンドを新規作成する. メイン画面が立ち上がるので,必要に応じて左上ライブラリを開く. ライブラリには様々な機能が小分けにリストされているので,そこから実行したい機能を右のワークスペースへドラッグ&ドロップすることでプログラムを組む. 返事をしてほしいので喋る機能が欲しい. "テキストを読み上げる"がそれだ. ドラッグ&ドロップでワークスペースへ追加しよう. ライブラリの検索機能を使えば素早く見つけることができる. ライブラリの下部にはその機能についての説明も表示されている. テキストを読み上げるは入力に文字列(テキスト)が必要. ライブラリの変数を選択してテキスト(Text)を見つけよう. 見つけたらそれをテキストを読み上げるの上へドラッグ&ドロップする. プログラムは上から下へ順番通りに実行され,前の処理の出力が次の処理の入力となる. 処理されて次へ,処理されて次へとベルトコンベアのようにデータが運ばれてゆくのだ. これで変数Textの言葉を喋ってくれる. 喋る言葉は画面下部にある変数リストから,該当する変数Textをダブルクリックすることで編集できる. 変数リストが隠れている場合は画面下部のをクリックすると良い.
値(Value)を喋らせたい言葉にする. 画像のようにセットすれば,呼びかけ"Hello"に対して"Hi"と返してくれるワケだが,これだけではつまらないのでユーザ名(私の名前)を続けて喋るようにしてみよう. 変数にはユーザー名(User name)というものもあるので,それをテキストの下へドラッグ&ドロップしてみよう. これでテキスト"Hi"がユーザー名とくっつき"Hi ユーザー名"となり,それがテキストを読み上げるへ入力される. つまり"Hello"という呼びかけに対し"Hi ユーザー名"と答えてくれるようになったのだ. さて,上手く実行できるかどうかテストをしてみよう. 右上の実行ボタンをクリックして実行できる. 上から順に処理されてエラー無く実行出来れば緑色のチェックマークが付く. うまいこと"Hi ユーザー名"と喋ってくれたのでこれを保存しよう. コマンド名は"Hello"なので音声入力コマンド欄にはHelloと入力しよう. コマンド有効にチェックを付け,保存する. 保存時の名前もコマンド名と同じHelloにしよう. これでコマンドHelloが完成した! "Hey Mac, Hello"と言うと"Hi ユーザー名"と返してくれる. もちろんこれはほんのお遊びで,ライブラリにあった機能各種を上手く組み合わせれば,より実用的なプログラムを簡単な呼びかけだけで実行できるようになるのだ. AppleScriptやJavaScript,シェルスクリプトといったスクリプト言語によるプログラムも可能な点に自由度の高さを感じる. 例えば"Good morning(おはよう)"という呼びかけで,カレンダーとSafariとメールを開き,新着メールをチェックして,お気に入りのニュースサイトを開く,なんてこともできるのだ. 喋りかけるだけなので,コーヒー/紅茶を淹れながら操作できる! アイディア次第で自分のライフスタイルに合った便利な音声入力コマンドを手軽につくれるAutomator. 日常の何気ない作業をドラマチックに自動化してみては如何だろうか.
おまけ: 作成した音声入力コマンドは"ユーザフォルダ/Library/Speech/Speakable Items/"に保存される. Libraryフォルダは普段隠れているが,メニューバーの移動を表示してOptionキーを押すと姿を現すので覚えておこう.
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