前回の記録: Intro to Blender
前回の記録ではBlenderの機能を大まかに紹介しました. ここではそれらの知識を活かしてひとつの作品を作るまでを記録して行きます. Cycles Render Engineを使ってフォトリアルなグラスを作成します. 習うより慣れろ派の方はIntro to Blenderを辞書のように使って,ここに書いてある内容を試して見るとBlenderに親しめるかもしれません. それではまず第一弾と題してグラス作りです.
グラスを作るには
使う技術
- オブジェクトの削除と追加
- 編集モードへの切り替え
- 押し出し
- スケール
- マージ
グラスの底を作る
Blenderで新規作成すると立方体が真ん中に表示されます. 今回は立方体を使わないためXキーを押し立方体を削除しましょう. Shift+Aキーを押したら"Mesh"から"Circle"を選択して円を追加します.
形を編集したいのでTabキーで編集モードに切り替えます. 円上に点がいくつか見えれば編集モードへ切り替わった証拠です.
それではこれからグラスの底を作りましょう. Eキーを押して押し出しをしたら,すかさずSキーを押して押し出した物をスケールします. マウスを円の中心に向かって動かすと円がすぼまります. 下の画像の様に少しだけ円をすぼめまたらクリックして編集を適用しましょう.
後はAlt+Mキーでマージを行います. マージメニューの"At Center"を選択するとオブジェクトの中心でマージしてくれます.
これでグラスの底は完成です!
次はグラスのまわりを作ります.
グラスのまわりを作る
この工程では円の外周を上へ押し出して行き,コップの形を作ります. まずは先に作ったグラスの底の外周をAlt+右クリックして外周を下画像の様に選択しましょう(右クリックだけだと1つの辺しか選択できません).
それでは選択した外周を上方向(Z軸方向)へと押し出しましょう. Eキー(押し出し)に続けてZキーを押すと,Z軸方向にのみ押し出せるようになります. 好みの高さ押し出したらクリックして編集を適用します.
ここでSキーを押せば,押し出した部分だけをスケールすることが出来ます. 少しだけ大きくすることで,口広がりなグラスを作ることが出来ます.
必要ならばこのZ軸方向への押し出しとスケールを数回繰り返し,望む形のグラスを作ります.
Zキーを押すと上画像の様にワイヤフレーム表示へと切り替わるため,隠れている部分(コップの裏側)まで見えるようになります. Num1キーを押すと正面からの眺めになり,グラス全体の形を確認しやすいです. Shiftキーを押しながらドラッグすれば視点移動も出来ます. また,平行投影の方が歪みが無いため形の確認に適しています(Num5キーで投影法の切り替えが出来ます).
"グラスの形"をグラスにする
グラスの形になった所で,このグラスに厚みを持たせましょう. Tabキーを押して,編集モードからオブジェクトモードへ切り替えます. Aキーを数回押して下画像の様にグラス全体が選択されていることを確認します.
さて,インスペクタのモディファイア(レンチマーク)をクリックしましょう.
"Add Modifier"をクリックすると次のようなメニューが表示されます.
上の画像では左から2列目の下から4番目にある"Solidify"を選択します. 出てきたモディファイアの"Thickness"を変更して見ましょう(下の画像ではThickn: の値です).
グラスの厚みが変化する様子を見ることが出来ます.
上の画像の様に少しだけ厚みを付けてみましょう. ガラス製のグラスにするため(プラスチック製では無くという意味で...),なるべく薄くしてみると良いでしょう. この後の工程でグラスに丸みを付けると少し厚みが増すため,気持ち薄く作っておくことをお勧めします. 望む厚みになったら"Apply"します. さて,厚みが付いた所でよりリアリティを持たせるため,グラス内側の底を上げてみましょう. このように...
まずはTabキーで編集モードへ切り替えます. そして,底の内側の円周だけをAlt+右クリックで選択します.
Gキーを押し選択した部分だけを掴みます. ここですかさずZキーを押すと移動をZ軸方向のみに制限出来るため便利です. このようにして底を少しだけ持ち上げて行きます.
次はグラス内側,底の中心を右クリックで選択します. そして先ほどと同様にGキー,Zキーで少しだけ持ち上げます.
些細で面倒な操作ですが,この底上げがグラスにリアリティをもたらします. さて,次はいよいよグラスづくりの最終段階です.
最後の調整
編集モードの場合はTabキーでオブジェクトモードへ切り替えます. またワイヤフレーム表示の場合はZキーでソリッド表示へ切り替えましょう. Aキーを数回押してグラス全体が選択されていることを確認します. これからグラスに丸みを付けます.
インスペクタのモディファイアを開いて"Add Modifier"をクリック,今度はSolidifyの下にあった"Subdivision Surface"を選択しましょう.
Subdivisions欄にある"View"の値を3へ変更します. するとグラスに丸みが付きます. 場合によって値は2や4など適宜調整して適切な丸みを付けましょう. 目安としてグラスのふちが角ばっていない状態が良いです.
Renderの値をViewの値と同じに設定することでレンダリング結果にも同じ丸みが適用されるようになります. ここで,グラス表面の滑らかさを演出するために,ツールパネルにあるShading欄のSmoothもクリックしておきましょう.
いよいよグラス作成最後の手順です. マテリアルをガラスに設定します. グラス全体が選択されていることを確認したら,インスペクタのマテリアルタブを開きましょう.
"New"をクリックし,表面(Surface)のマテリアルを設定します. ガラスで出来たグラスを作っているので,表面のマテリアルを"Glass BSDF"へと変更します. "Diffuse BSDF"をクリックするとマテリアル一覧が表示されるので,その中から"Glass BSDF"を選択しましょう.
ちなみにこのBSDFとは"Bidirectional Scattering Distribution Function(双方向散乱分布函数)"の略で,簡単に言うと光の反射モデルの一種のことです(覚える必要はありません). さて,より好ましいガラス感を表現するため,少しだけマテリアルの値を変更してみましょう. まずはColorをクリックして色を白色へと変更してみます. デフォルトではRGBそれぞれの値が0.8と薄い灰色になっているので,それぞれを1.0へと変更します.
これで見た目の綺麗なグラスになります. また,IOR値を1.5へと変更することでよりリアリティのあるCGモデルになります. このIORとは"Index of Refraction",日本語で屈折率のことです. ガラスやプラスチックや水などの透明な物はそれぞれ屈折率が異なるため見た目も異なります. 下に屈折率の違いによる見え方の差を示します.
左に比べ右の方がよりガラスらしく見えると思われます. これが屈折率の魔法です. Pixel and PolyというサイトにはIOR(屈折率)の一覧表が掲載されています. Glassの欄を観ると1.5と書いてあります(Glass, Pyrexは耐熱ガラスのことです). この値をIORに設定すれば,現実的に正しい屈折率のCGモデルを作ることが出来るわけです.
上の画像はShift+Zキーでレンダリング表示へと変更したところです. もし,レンダリング表示が暗い(濃いグレーな)場合は,ワールド設定のColorをグレーから白色へと変更してみましょう.
以上でグラスの作成は終了です. 次回はこのグラスに水を注いでみたいと思います. それを可能にするBlenderの機能である"流体シミュレーション"を中心に記録しています.
流体シミュレーション | Cycles Renderを試す 02
2385115392982830102
https://www.storange.jp/2016/06/cycles-render-01.html
https://www.storange.jp/2016/06/cycles-render-01.html
グラスを作る | Cycles Renderを試す 01
2016-06-23T19:53:00+09:00
https://www.storange.jp/2016/06/cycles-render-01.html
Hideyuki Tabata
Hideyuki Tabata
200
200
72
72