環境
我が家のかんたんな配線図がこちら
至ってシンプルで一般的な配線である. NTTルーターに光回線が来ており,そこからLANケーブルでWi-FiのAP(アクセスポイント)へ. iMacはそのWi-Fiでインターネット接続している.
なお,電話機はアナログ電話機(RJ45端子を接続するもの)をNTTルーターと繋いで利用している(これも至って一般的な構成だと思う).
NTTルーター(PR-200NE)のIPアドレスは192.168.0.1とする.
1. NTTルーターのセットアップ
ルーターの設定画面にWebブラウザにてアクセスする. 今回のルーターのIPアドレスは192.168.0.1なので,http://192.168.0.1とブラウザのアドレスバーに入力後,BASIC認証のログインIDとパスワードを入力し設定画面へ入る.
左メニューより「電話設定」→「内線設定」を選択. その後,登録状態が未登録の“IP端末”の「編集」をクリックする.
一部,ビジネス向けルータ(OG810Xaなど)では「内線設定」画面に編集が無く,ただIP端末と内線番号のリストが表示されるだけのものもある. この場合,この利用したい「内線番号」だけをメモして「2. Telephoneのセットアップ」へ進もう.
1点だけ要変更箇所あり. 「ユーザID」を「内線番号」と同じにする. 「ユーザID」には最初0003のようなゼロで4桁に埋められた番号が入力されている. これを「内線番号」と同じ3へ変更しよう. さて,「ユーザID」と「パスワード」は後ほど必要になるのでメモ.
他,そのままで問題なし. 「端末属性」は“通常端末”で,「ダイジェスト認証」も“行う”でOK. 「MACアドレス」にiMac(接続端末)のものを設定することで,他の端末からの接続を除外できるが,今回はお遊びなので入力を省いた. 「ニックネーム」は分かりやすい名称へ変更した. 入力を終えたら下部にある「設定」をクリック.
設定内容を保存してよいか問われるので,オレンジ色に点滅する「保存」ボタンをクリック.
再び内線設定へ戻って,きちんと内容が保存されていることを確認. もしこのとき,該当端末の「利用有無」チェックボックスが外れていたら,チェックをつけて「設定」をクリックした後,再びオレンジに点滅する「保存」ボタンをクリックで利用の有効化を行う(わたしの環境ではすでにチェックされていたのでこの設定は不要であった).
以上で,ルーター側のセットアップは完了.
2. Telephoneのインストール
Mac App StoreよりTelephoneをダウンロード/インストールする
3. Telephoneのセットアップ
Telephoneを立ち上げる. セットアップ画面が現れる.
「Full Name」には何でも良いので名前を入力. 「Domain」にルーターのIPアドレスを入力. 今回は192.168.0.1とした. 「User Name」と「Password」にルーター設定でメモした「ユーザID」と「パスワード」を入力する. これで「Done」(完了)ボタンをクリック!
一部ビジネス向けルーター(OG810Xaなど)をお使いの場合は「User Name」に空いている内線番号を,「Password」を空欄にして設定完了すると繋がることがある.
メイン画面が立ち上がる. ここで“Available”とグリーンライトが灯っていれば,もう通話できる状態だ!
4. テスト通話
メイン画面に番号を入力,returnキーで通話できる. ここでは試しに時報117へかけてみた.
すると小さな通話ウィンドウが現れる. 着信時はNotification(通知)され,受話するとこのウィンドウが現れる.
この通話ウィンドウをアクティブにした状態で数字を入力することで,音声ガイドなどへのダイヤル(トーン信号/DTMF)も可能. しかし,我が家のルーターでは上手く行かなかった. 公式サイトのFAQ曰く,RFC 2833かSIP INFO DTMF標準に対応したルーターやVoIPゲートウェイでないと駄目だという. どうやらPR-200NEは未対応の様子.
終話するときは通話ウィンドウの“バツ印”をクリックか通話ウィンドウをアクティブにした状態でCmd+.. なお,通話ウィンドウをアクティブにした状態でのショートカットキーはHで保留,Tで転送,Mでミュートなどあるが,接続先のルーター/ゲートウェイがVoIP専用のものでないため,上手く行かなかった.
通話履歴はメイン画面に残るが,無料版では直近3件までしか参照できない. PRO版へアップデート(執筆時は月$1.99)することで全履歴の参照,30回線までの同時通話(無料版は3回線だったかな?),他App開発サポートなどの恩恵を受けることができる.
ちなみに,これはVoIP通話(デジタル)なので,いわゆる固定電話機(アナログ電話)へ内線通話など,専用のサーバー/変換器が無いと,受け渡し出来ない点に注意.
なお,一部ビジネス向けルーター(OG810Xaなど)をお使いの場合で発信時,通話ウィンドウにNot Acceptable Hereと表示されてしまった場合はTelephoneの環境設定を開き,“Sound”タブより「Use Only G.711 codec」にチェックをつけることで発信できるようになることを確認(これはルーターがG.711というコーデックにしか対応していないため). ただし,着信は出来なかった... このあたり,本当にルーターの仕様に依る.
4. その他のTips
ショートカットサービス
Telephone.appはmacOSのショートカット(サービス)機能にも対応している. そのため,システムワイドでテキストを選択して右クリックメニューから直接電話をかけることも可能.
デフォルト通話アプリの設定
macOSの環境設定から「キーボード」→「ショートカット」→左メニューの「サービス」を選択. 右メニューのサービス一覧「テキスト」内の「Telephone: Call」にチェックをつければ,設定は完了. これで,電話番号のテキストを選択,右クリックメニュー下部の「Telephone: Call」をクリックすれば,Telephone.appで電話をかけることができ,便利.
電話番号のリンクは<a href="tel:117">時報へ電話</a>のように実装も可能. aタグのhrefにtel:電話番号とすることで,そのリンクをクリックするだけで電話がかけられる(iPhoneなどではすでに馴染みのある機能ではあるが). ただし,このようなリンクは初期設定ではFaceTimeにて電話がかかるよう設定されている. デフォルト通話アプリをFaceTimeからTelephone.appへ変更しよう.
FaceTime.appの環境設定を開いて「通話のデフォルト」をTelephone.appへ設定しよう. これでtel:のリンクなどはすべて自動でTelephone.appにて通話されるようになる.
なお,Terminal(シェル)からは次のコマンドで電話をかけることが可能.
open tel:電話番号
これでなにかおもしろいスクリプティングをつくってみるのも良いかもしれない.