日本国内初となるデジタルバンク、「みんなの銀行」が本日13:00より正式にサービス提供開始となりました!ここではローンチ時点(2021年5月28日)での情報を記録しております。今後のアップデートに伴い変更される箇所もあると思いますのでご注意を。
「みんなの銀行」とは
デジタル(アプリ)での利用を前提に設立された国内では新しい形態の銀行です。一般的な銀行とは異なり実店舗は無く、すべてがデジタル=アプリ上で完結します。わかりやすくミニマルなデザインのアプリは「みんなの銀行」の世界観=コンセプトを感じます。イラストも多様性を感じてとても好きです。
上は頭取(とうどり:会社で言う社長に当たる肩書)の横田さんへのインタビュー動画。“銀行”という名の“お金にまつわるサービス”、と言った方が適当かも知れません。
サービスについて
ウォレットとボックス
利用開始と同時に「ウォレット」と「ボックス」というの2つの口座が開設されます。それぞれの用途
- ウォレット: 普段使いのお金を入れるところ (≒普通預金)
- ボックス: 目的別にお金を貯めていくところ (≒貯蓄口座)
ウォレットのお金をボックス(貯金箱)へ移して行くことで、お金を上手にやりくりすることが出来る仕組みです。ボックスは最大20個まで作成でき、スケジュールを作成することで、毎月や毎週の決まった日付に決まった金額をボックスへ移動させる、といった自動化も出来ます。
注記: ローンチ時点(2021年5月28日)では公共料金やクレジットカード代金などの口座振替には未対応でした。国家公務員の給与振替口座としての指定も出来ないようです。国税還付金や公的年金の受取口座としても指定は出来ないとのことです。また、利息は毎日の最終残高に対して「みんなの銀行」ホームページに掲載の約定金利を適用するとのことでした。今後のアップデートに期待しましょう。
レコード
いわゆる家計簿アプリ的機能です。収支管理できる情報は「みんなの銀行」口座のみにとどまらず、他行口座やクレジットカード、電子マネーに至ります。どうやら協働事業者の名には家計簿アプリで有名なあの「マネーフォワード」が。納得です。「みんなの銀行」アプリさえあれば、お金にまつわるあらゆることを管理/把握することができるようです。「ウォレット」、「ボックス」、「レコード」以外にも、次に紹介する「バーチャルデビットカード」、「ATM入出金」などもアプリは“アクション”画面から行えます。
アクション
アプリトップ画面(ウォレット画面)を上にスワイプすることで「アクション画面」が表示されます。バーチャルデビットカード
QUICPay+に対応したJCBデビットカードが口座開設と同時に発行されます。年会費は無料で、Apple PayやGoogle Payにも対応しています。キャッシュバック率は0.2%。利用限度の設定や利用停止もアプリから簡単に行えます。JCBの本人認証サービス「J/Secure」も設定できます。口座情報
支店名や口座番号、QRコードなどが表示されます。「みんなの銀行」同士ならばここに表示されるQRコードを読み取ることで口座情報が自動入力され、振り込みも簡単に行えるとのことです。振り込み
金融機関を選択し、振り込み出来ます。振込手数料は公式サイトより確認できます。ATM入出金
実店舗のない銀行なので、銀行からお金を引き出す際に使うキャッシュカードというものも、もちろん発行されません。代わりにセブン銀行ATMに表示されるQRコードをアプリで読み取ることで入出金できる仕組みとなっています。最寄りのATMもアプリ内のマップから確認できるなど、いたれりつくせりです。入金手数料は無料でした。出金手数料は公式サイトより確認できます。プレミアムサービス
プレミアムサービス (Premium)|みんなの銀行月額600円で次の追加サービスが受けられるようになる、プレミアムサービス「みんなの銀行 Premium」も用意されています。
- 振り込み・ATM出金手数料が回数限定で無料に
- デビットカードのキャッシュバック率が1%に
- レコード連携先データの一括更新が可能に
- カバー(当座貸越)の利用が可能に
なお、カバーは最大5万円まで無利子で利用できるようです。詳細やその他条件については公式サイトをご確認あれ。
今後もどんどんと“みんなの声”を取り入れてアップデートしていくようなので、「みんなの銀行」の未来が気になりまくりです。
口座開設する
口座開設4つのステップ
まずは氏名や生年月日などを入力、その後本人確認書類だけの写真を撮影し送付します。そしてビデオ通話による本人確認が行われ、最後に「みんなの銀行」へのログインパスワード(半角英数字8-16文字)と秘密の質問を入力して、申し込み受け付け完了となります。
ビデオによる本人確認
本人確認にはビデオ通話を応用したeKYCという仕組みが活用されています。ビデオ通話、といっても本人確認書類と一緒に自撮りをするような感覚です。ビデオがつながれば1分かからずに本人確認を終えた印象です。その後、数分で審査結果が通知されます。とっても早いです!本人確認書類
- 運転免許証
- パスポート
- マイナンバーカード
- 住民基本台帳カード(写真付)
- 官公庁から発行された写真付き書類
- 運転経歴証明書(平成24年4月1日以降交付のみ)
- 身体障害者手帳(カード様式)
- 精神障害者保健福祉手帳(カード様式)
口座設定
初回ログイン時にSMS疎通確認が行われます。2段階認証として利用できます。その後、次の支店名よりお好みの支店を選択できます。下記リスト頭は支店番号、カッコ内は橋の所在地です。支店名が実在する橋の名前というのも、“つながり”を大切にしている「みんなの銀行」らしさが伺えます。旅先で見かけた思い入れのある場所の橋を選んでみるのも乙で良いですね。
- 003: ブルックリンブリッジ支店 (New York)
- 007: ポンテベッキオ支店 (Firenze)
- 004: レインボーブリッジ支店 (Tokyo)
- 002: ハーバーブリッジ支店 (Sydney)
- 006: タワーブリッジ支店 (London)
- 005: ボンヌフ支店 (Paris)
- 008: ゴールデンゲートブリッジ支店 (San Francisco)
支店選択後、ATM暗証番号(4桁)を設定します。ここに携帯電話番号、生年月日、住所地番などから推測され得る数字や、ゾロ目数字などは設定できません。
お友だち紹介
ATM暗証番号入力後、紹介コードの入力画面が表示されます。これは友人から「みんなの銀行」を紹介された人用の入力欄です。ここへ招待時に記載されているコードを入力することで、紹介した人も、された人も特典として1,000円が入金されます。この招待コードを入力できるタイミングはここだけなので、紹介を受けた方はぜひ入力してみてください。
口座設定が完了すればアプリを使い始められます。Have a Happy みんなの銀行 Life!
会社と土台
会社について
「株式会社みんなの銀行」の所在地は福岡市とのこと。そして親会社は「ふくおかフィナンシャルグループ」(100%株主)でした。金融のプロフェッショナルである「ふくおかフィナンシャルグループ」の子会社ということで安心しました。むろん、銀行と名乗っているわけですので銀行業のライセンスも取得済み(株式会社みんなの銀行に対する銀行業の免許の付与の公表について)です。そのため、もしもの事態に陥ってしまっても、国の法律により1,000万円まで保護されるため安心感があります。 「みんなの銀行」横田頭取に質問!これからの時代、銀行ってほんとに必要なんですか?|みんなの銀行 公式note銀行という名が付く限り“信用”という言葉とは切り離せない会社/サービスですが、それに相応しいきちんとした下地と環境が整っているように感じます。
舞台裏について
今度は会社ではなく、銀行システムを開発している会社も調べてみました。どうやらコアバンキングシステム(勘定系システム: 銀行の土台となる取引業務を行うシステム)の開発は「ふくおかフィナンシャルグループ」の子会社「ゼロバンク・デザインファクトリー(通称ZDF)」と「アクセンチュア」が共同開発しているようです。「アクセンチュア」はアイルランドに拠点を置く世界最大級のコンサルティング会社で、システム開発分野でもIBMに次ぐ、実力確かな多国籍企業です。コアバンキングシステムはパッケージ販売されているものを利用する場合などもあるようですが、「みんなの銀行」では内製しているとのことです。その基盤にはGoogle Cloud Platformを、アーキテクチャにはマイクロサービスアーキテクチャを採用しているとのこと。“みんなでつくる銀行”、“みんなの声をいち早く反映できるように”といった思想から、アジャイルな開発が行われているようです。これだけでも、今後の拡張性やフレキシブルさが伺えます。
デジタルバンクの開発エンジニア|みんなの銀行 公式noteなお、コンタクトセンターにはAmazon Connectを採用している模様です。エンジニア/開発者目線からすると、こういったところにとても興味を惹かれます。きちんと公式noteなどで紹介されているのも、透明性があって好印象です。
Banking as a Service
企業向けにBanking as a Service(通称BaaS)というサービスの提供もあるようです。「みんなの銀行」の持つ機能をAPIとして提供し、顧客企業のアプリで利用できるようにする仕組みです。ざっくりとしたコンセプトは次の動画で確認できます。
オンラインストアの購入画面からそのままローンが組めたり、積み立て預金ができたりと、今までは法的にも技術的にも難しかったことが出来るようになるようで、“銀行がAPIを提供”という言葉だけでもとても興味深いです内容です。従来の銀行では考えられなかったようなデジタル向けのサービス展開が出来るので、こういった点も「みんなの銀行」の強みでしょう。
従来の銀行はしっかりと閉じた世界でしたが、「みんなの銀行」は良い意味で開けた(オープン)な銀行になっているように感じます。なにより、しっかりとした下地の上にきちんとした設計・開発が成されていることが公式noteやSNSなどからも伝わってくるため、このような銀行が日本に登場してくれたことはとても嬉しい出来事に思います。今後も動向が見逃せません!
みんなでつくる、みんなの銀行プロジェクト|みんなの銀行|デジタル銀行で価値あるつながりを公式noteにて開発の裏話やコンセプトの説明などが詳しく投稿されています。銀行の裏事情や金融機関やお金にまつわる今後あれこれについて興味のある方は一読の価値ありです。
みんなの銀行 公式noteちなみに、毎年3月7日を「みんなの銀行の日」として記念日に制定しているようです。
「#お金のこと話してみよう」ということで、日頃言えないお金にまつわるわれこれを話し合う機会になれば、との願いがこもっているそうです。確かに、家族や友人などとお金について話す機会というのは中々持てないものだと思います。各々の価値観を共有できる大切な話題でもあると思うので、このような記念日を設けちゃうあたりに、「みんなの銀行」の“既存の銀行という枠組みからは飛び抜けたものをつくりたい”という情熱を感じます。