環境
- OS: macOS Monterey 12.0.1
- HW: iMac (Retina 4K, 21.5-inch, 2017)
未テストであるが、Apple Silicon(Apple M1チップ)でも動作する模様。試された方が居りましたらコメント欄にて情報共有求む!
いきさつ
パナソニックのネットワークカメラBB-SC384B(カメラBB)をセットアップする必要があり、初期状態のカメラをLANに接続。IPアドレスのネットワーク部が異なるためiMacからカメラが見えなかったので、説明書に則り「Panasonic IP簡単設定ソフトウェア」というセッツアップツールを使ってカメラのネットワーク設定を自LAN環境に合わせることにするも、ツールがWindows版しかなく、結局exeファイルをダウンロードしてさてどうしよう、となった時にWineskinなる素晴らしいツールを見つけたので、ここでそれをご紹介。
Gcenx/WineskinServer: Wineskin on GitHubインストール
GitHubに記載の通りhomebrewを使ってインストール。次のコマンドでさくっとインストール。
brew install --no-quarantine gcenx/wine/unofficial-wineskin
初期設定
Wineskinを立ち上げると次のような画面が現れる。
最初は“Installed Engines”欄に何も無いと思うので、+アイコンをクリックしてエンジンをインストールしよう。
色々なエンジンが選べるが、今回は64bit対応しつつ最新のmacOSでも(No TestだがおそらくApple M1のようなApple Siliconチップでも)使えるWS11WineCX64Bit20.0.4を選択した。インストールしたらメイン画面に戻り、“Wrapper Version”欄のUpdateをクリックし、ラッパーを最新のものへアップデートしよう。
さて、これでもう使える。仕組みとして“Wrapper(ラッパー)”と呼ばれるmacOSアプリケーション(.app)を作成し、このラッパー内に擬似Windowsが居る(擬似Cドライブもここに生成される)のでWineの力でexeファイルを実行できる模様。使いたいexeファイルごとにラッパーを作成することとなる。では“Create New Blank Wrapper”をクリックしよう。
任意の名前のアプリ(ラッパー)を作れる(半角英数字とハイフンとアンダースコアが利用可能)。今回はexeファイルと同名の「EasyIpSetup.app」とした。OKをクリックして進む。
するとWineのポップアップやWineskinのポップアップがチラチラ現れ、ラッパーを一生懸命にこしらえてくれている様子が伺える。少しすると“Wrapper Creation Finished”という嬉しいダイアログが現れる。
つくったラッパーは~/Applications/Wineskin/内に保存される。macOSのLaunchpadにもこのアプリ(ラッパー)は表示される。
さて、ラッパーを起動すると、セットアップ画面が表示される。
画面設定やより細かな設定も行えるが、今回はWindowsであってもインストール不要で使えるexeファイルを実行するだけなので、素直に“Install Software”をクリックして進む。するとInstaller(インストーラ)画面が現れる。
もし、exeファイルがインストーラならば(Windows環境でもインストールウィザードが表示されるものならば)“Choose Setup Executable”をクリックする。
今回はインストール不要のexeファイルなので、“Copy a Folder Inside”あるいは“Move a Folder Inside”を選択した。これはexeファイルをラッパー内にコピーあるいは移動して、exeファイルが実行できるようにするオプションである。今回は“Move a Folder Inside”をクリック。これでexeファイルはラッパー内に移動されるので、外見完全にmacOS用アプリにしか見えないようになる。なお、これをクリックした場合、選択対象はフォルダとなる点に注意。そのため事前にexeファイルを適当な名前のフォルダに入れ、そのフォルダを選択する。
すると、どのexeファイルを実行させたいのか、ダイアログが表示される。
“EasyIpSetup.exe”がまさに動かしたいWindowsアプリケーションなのでOKをクリックしてセットアップを終える。すると魔法のようにEasyIpSetup.exeが起動するではないか!
懐かしのUIながらきちんと動作している。ライセンスに同意すると“Panasonic IP簡単設定ソフトウェア”のメイン画面が表示された。
改めてネットワークカメラをLANに接続するときちんとリストに表示され、そのままネットワーク設定も出来、無事ブラウザからアクセスすることができるようになり、ネットワークカメラも無事設置できた!めでたし。
ラッパーは一度exeファイルをインストールすれば、2回目以降の起動ですぐにexeファイルが起動する。本当にWindowsアプリケーションがmacOSアプリ化される感覚。なお、ラッパーを削除したい場合は~/Applications/Wineskin/直下にある該当アプリ(ラッパー)をゴミ箱へぽいするだけ。文字通りラッパー(包まれた環境)なので外部に設定ファイルなどを生成することも無く、飛ぶ鳥跡を濁さずが如く。大変使い勝手が良い。
さて、今回使用したWineskinはexeファイルをGUI操作で簡単にmacOSアプリ化できる逸品であった。64bit対応やmacOS Montereyでの動作、さらにはApple Siliconでも動くというのでちょっとした場面で活躍することだろう。仮想環境にWindowsをインストールせずとも、ちょこっとした設定のためだけにWindows PCを引っ張り出すことをせずとも、気軽にexeファイルを実行できるので、大変におすすめのアプリである。