絞り シャッタースピード ISO

一眼レフカメラの良い所は細かな設定が出来ることとレンズを交換できることだろう. 設定を細かく調整できるので,暗い場面から明るい場面まで様々なシーンに対応できる. レンズを交換することで近距離から長距離,魚眼やティルトなど様々な映像を収めることが出来る. ここでは撮影時に注意したい3点,絞り(Aperture),シャッタースピード(Shutter speed),ISOについて紹介する. この3つのパラメタと各々の意味を知ることで,シーンに適した設定を行えるようになる. 基本となる法則は次の3つ. これらの具体的な意味について,1つずつ見て行こう.

背景をぼかしたい = F値は小さく
手ブレさせたくない = シャッタースピードを小さく
暗く写ってしまう = ISOを大きく

絞り

光をどれだけ取り込むかを決める. F値と呼ばれる数値で設定する. 大体5.6から36.0までの数値になるが,レンズに依ってもっと小さな数になったりもする. 光を多く取り込みたければF値を小さくする. 反対にF値を大きくすると光りをあまり取り込まなくなる. つまり,F値とは"光を遮る量"と言うことが出来る. このF値,光の取り込み量だけでなく,ピント(焦点)の合い方にも大きな影響を与える. 下にF値による写り方の違いを示す. 下3枚の写真はすべて手前の"ミスター・レインコート"にピントが合っている.
F値: 5.6
F値: 9.0
F値: 36.0
各写真をクリックして拡大してみよう. F値が小さい場合(この場合5.6),ピントが"ミスター・レインコート"にはっきりと合っていることが分かる. しかし,それ以外の部分,例えばカエルの"ケロタン"や"チューバッカ"など,ピントを合わせていない他の部分がぼやけている. 一方,F値を大きくして撮影した場合(この場合36.0),他の部分("ケロタン"や"チューバッカ")もあまりぼやけずに写るようになる. これを表にまとめると下のようになる.
小さいF値大きい
多い取り込む光の量少ない
はっきり焦点の合い方やんわり
狭い焦点の合う範囲広い

焦点の合う範囲のことを"被写界深度"とも言う. 上の写真左は被写界深度が"浅い",右は被写界深度が"深い"写真だと言える.

以上のことから,ある対象だけをはっきりと写して,背景をぼかしたければF値をできる限り小さくし,また対象と背景の両方をあまりぼかさずに撮りたければF値をできる限り大きくすると良いことが分かる. ただし,F値を大きくすると光が集まらずに暗くなってしまうため,シャッタースピードとISOの調整で補う必要がある.

シャッタースピード

シャッタースピードは光を何秒間集めるかを決める. 単位は秒であるが,例えば"1/1000秒"のような表記である. 一般に1/8000秒から30秒までの範囲でシャッタースピードを調整できる. シャッタースピードを短く(速く)すると,動きの一瞬を切り取ることが出来るようになる. 一方,シャッタースピードを長く(遅く)すると撮影中の動きすべてを一枚の写真に収めることが出来るようになる. 百聞は一見に如かずなので,下にシャッタースピードによる違いを示す. すべて同じ場面を撮影している.
1/1250秒
1/50秒
1/1秒
シャッタースピードが1/1250秒のように短い場合には,宙に舞っている水滴を見ることができる. シャッタースピードが1/1秒のように長い場合,その時間すべての光を一枚の写真に収めるため,動きが平均化されていることが分かる. 注意点はシャッタースピードが短いということはそれだけ光を集める時間も短いことなので,写真は暗くなってしまう. 絞りとISOを調整して明るさを補う必要がある. 一方,シャッタースピードを長くするとそれだけ長く光を集めてしまうので写真は明るくなる. 明るくなり過ぎてしまった場合は絞りやISOで明るさを調整すると良い. ちなみに,シャッタースピードが長い場合は三脚などでカメラをしっかりと固定しないと,ブレブレの写真になってしまうので注意(それが芸術的になる場合もあるので色々試してみよう). 以下,表にまとめる.
短いシャッタ スピード長い
少ない取り込む光の量多い
一瞬写り方平均
暗くなる注意点三脚が必要
スポーツ写真を撮る時など,瞬間を切り取りたい場合にはシャッタースピードを短く,反対に川や滝を撮影する時など,動きを強調させて撮りたい時にはシャッタースピードを長くすると良い. 三脚などが無く,手ブレが気になる場合にはシャッタースピードを短くしよう.

ISO

ISOはアイソと読む. カメラの感度を意味する. 値は一般に100から6400までだが,カメラに依ってはずっと大きな値のものもある. ISOが小さいと感度は鈍く,大きいと鋭くなる. どういうことか. 例えば,同じ絞りとシャッタースピードでISOだけを変えた場合,ISOが小さいと暗く写る(光に対する感度を鈍くしていると言える). 一方,ISOを大きくすると光に対して敏感になるので明るい写真が撮れるようになる. 下に同じF値とシャッタースピードでISOだけを変えた写真を載せる.
ISO 100
ISO 400
ISO 6400
このようにISOの値を大きくすることで光をより敏感に集めることが出来るようになるのだが,その代償としてノイズが増す. ノイズは出来る限り抑えたいので,ISOはなるべく小さくすることが望ましい. 以下,表にまとめる.
小さいISO大きい
暗い写り方明るい
少ないノイズ多い
ISOは基本的に小さい値にしておくことでノイズの少ないキレイな写真を撮ることが出来るようになるのだが,F値やシャッタースピードの関係でどうしても光(明るさ)が足りない場合など,ISOを大きくして行くことで明るさを補うことが出来る.
絞り
シャッタースピード
ISO
以上,3つのパラメタについて紹介した. この3つに注意するだけで,お望みのシーンを上手に収めることが出来るようになるはずだ. "写真を撮る"とは光を集める行為なので,3つのパラメタを互いに補い合いながら調整し,その場面に適した値を見つけることが大切になる. ただし,始めに示した基本法則はあくまでも基本なので,どのような撮り方をするかは撮影者のあなた次第. パラメタの法則を思い切りぶち破ってみても良いかもしれない. 思いがけない設定や撮影方法が芸術的な写真を生み出すことも数多くある.
8334393245815507175 https://www.storange.jp/2015/04/iso.html https://www.storange.jp/2015/04/iso.html 絞り シャッタースピード ISO 2015-04-05T11:05:00+09:00 https://www.storange.jp/2015/04/iso.html Hideyuki Tabata 200 200 72 72